2008-08-14

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相/福田ますみ 新潮社

教師から「穢れた血」といわれその後も嫌がれせを多く受けPTSDになった小学生の事件が数年前に報道された。しかしそれは保護者の虚言癖から始まった冤罪であった...

この事件を覚えている。酷い教師がいるものだと思いその後どうなったかは知らなかった。そしたらそれが冤罪だったことをこの本により知り,新聞報道といえども鵜呑みにしてはいけないなと改めて胸に刻んだ。

どうしてこの様な事件になったかというと,子供の嘘に両親も嘘を含めながら過剰に反応し学校を攻めた。これに対し校長と教頭は教師の話を信じずに,穏便に済まそうと教師の罪を認めてしまう。教師もとりあえず頭を下げることにする。

その様な状況時にマスコミがこの話を聞きつけ,両親の話を信じ込み教師糾弾記事を書きTV局もそれに乗り大事件へと発展することになり,民事裁判ではやはり両親の話を信じた人権派弁護士が550人の弁護団を組む。教師側は弁護士がいない状態。

しかしこの事件がおかしいと感じた弁護士が教師側に付き裁判を始めると両親の虚言癖や,PTSDと判断した医者の適当さが浮き彫りにされてきてマスコミの論調も変わってきて,最終的には教師の全面勝利とまではいかないものの勝利といっていい結末になった。

この事件を両親側からの取材のみで一方的に書き上げた週刊文春の西岡研介,西日本新聞の野中貴子,毎日新聞の栗田亨,朝日新聞の市川雄輝はジャーナリストとは言えないだろう。真実を調査する前に自分の判断で善悪を決め,自分を正義の使者と勘違いし自分で判断した悪を糾弾するために熱弁をふるう。

一応世間的に認められているマスコミ会社の人間がこうでは怖ろしい。○○新聞の記事だから信用出来るねと思う人も多いだろう。しかも訂正報道はしない。書いた者勝ちだ。報道する自分の使命というものに酔ってしまい,一般的な倫理観を欠如してしまっているのだろう。

報道はスポーツの結果しか信用できなくなっていくのかもしれない。