2008-03-13

ぼくの心の闇の声/ロバート・コーミア


第二次世界大戦終了数年後,11歳のヘンリーが住む地域ではユダヤ人,アイルランド人,ポーランド人など様々な人種の人々が暮らしていた。交通事故でヘンリーの兄が死亡しそれにショックを受けた父はいまだに立ち直れなく家に籠もったまま。母親は食堂でパートをしている。ヘンリーは家計を助けるために近所の雑貨屋を手伝っている。

ヘンリーはある日ユダヤ人のおじいさんと知り合いになった。そのおじいさんは工芸センターで木彫りの人形を作っていて,その人形でヒトラーに破壊される前の自分が住んでいた町を再現させていて,それが生きる活力となっていた。

ヘンリーは雑貨屋の主人に何気なくその事を話したら,ヘンリーの弱みと引き替えにとんでもない命令を申しつけた...

この作者の「チョコレート・ウォー」を本棚から引っ張り出し,10年ぶり以上に読んだら他の本も読みたくなり購入したのがこの本。心理的に追いつめていく意地悪はチョコレート・ウォーに似ていて,ヘンリーはどのような選択をするのかとページをめくるのが怖くもあり,楽しみでもあった。

中古で買ったので手元に届くまで分からなかったのだが,帯には小学校中~高学年向きと書いてあったが,低レベルの内容ではなく大人でも十分楽しめる作品だった。逆にもし学校で小学生に読ませるのなら,教師がしっかりとした考えを持っていないと危険かもしれない。