2008-07-28

王様は裸だと言った子供はその後どうなったか/森 達也


誰もが知っている15の物語をユーモアと現在の社会性を交えてパロディ化している本。軽い気持ちで受け流しながら,そして時にはなるほどと思いながらあっという間に読めてしまった。例えば「桃太郎」に関してはこうだ。

桃太郎:大学を卒業し正義を愛する崇高なジャーナリストになり,TVにも頻繁に出る存在
鬼:物語を何度読み返しても鬼ヶ島という人間とは隔離された島に住んでいる鬼達は,人間に対して直接的な危害を加えたという事は書いていない。

それなのになぜ桃太郎は鬼を退治しに行ったのか。この部分を自分が正義だと思い込んでいるジャーナリストの横柄さと思考の単純さを半ばバカにしながら書いている。

この物語の締めで書いてあることが面白い。「反抗する悪には中学校時代の顔写真と,DVDのレンタルリストを日本中に晒すという奥の手を使います。どんな悪もこれには敵いません。こうして正義のジャーナリスト桃太郎の快進撃は今日も続くのです」