2008-07-07

シッコ


国民健康保険制度を持たないアメリカの持たない故の欠点と,医療が無料のイギリス,フランス,カナダ,キューバの無料故の利点をわかりやすく対比させたドキュメンタリー。

医療が無料である事の代償,つまり欠点部分を一切描いていない事が逆に「税金が高いのかな」等と見ている者が自発的に関心を示すであろう上手い作りになっている。

国民健康保険制度が無いアメリカでは個人が民間の保険に入らざるを得ない。しかし全員が入れるとは限らず,はじかれる者も多く加入者は80%程度。しかも保険が有効になるのは保険会社が指定した病院じゃなければならない。

又,保険が適用されますよと確認したのにも関わらず,治療後に「あなたは過去にあったこの疾病を申告していませんでしたね。だから無効になります」といわれるケースもある。その疾病は重大なものではなく,後遺症や永続的なものでは無いのにも関わらずだ。

更に保険会社は病院と手を組んでいるだけではなく,医者とも報奨制度を結んでいて医者が患者に保険の適用が出来ないような診断をするとその数に応じてボーナスが出るという。

国民保険制度を必要としていない人々が国を動かしているのだから,今後も制度が出来ることはないだろう。年金を必要としていない人々が適当な運用をして,年金制度が破綻に向かっている日本人が偉そうに言えることではないけれど。