2008-09-26

この道は母へとつづく


ロシアの孤児院で6歳のワーニャがイタリア人の養子になることが決まった。引き取られるまでの期間に既に養子になり孤児院を去ったワーニャの友達の母親が尋ねてくる。その母親はもちろん子供に会えなかった。そして翌日その母親が自殺なのか足を滑らせたのか分からないが,帰り道の駅で死んでいるのが発見された。

もし自分の母親が尋ねてきたら?と考えたワーニャは読み書きを習い,院長の金庫から自分の記録を盗んだ。そこには出生記録はなかったが,最初に引き取られた孤児院の住所が書いてあった。そしてワーニャは脱走してそこへ向かうことになるが...

立派とは言えない孤児院。年長者が年下の面倒を見る仕組みになっているが,年下の者達がクルマのガラスふきなどで得たお金を年長者に上納しなければならない。年長者の中には売春をしている者もいる。院長は知ってか知らぬかこの構造には何も言わない。

ブローカーが養子先が見つけ縁組みが決まるとブローカーと院長に金が入る仕組みになっている。つまり,縁組みが決まったのに脱走すると脱走した子の安全を心配してではなく,両者の不利益となるので必死になって捜索する。

この年長者や院長,ブローカーとの関係性は嫌な感じがするのだが,完全に悪いとも言い切れない。映画の台詞にも出てくるがギブアンドテイクの関係で,そうしないとお互い生きていけないのである。

ワーニャが脱走してからはロードムービーの様になるのだが,日本のバラエティのような「初めてのお使い」の様な泣き笑いがある温い物ではない。だからこそリアリティがあった。