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2014-04-18

乱反射/貫井徳郎

若いときと違って,眠かったり目が疲れたりで通勤時に読書ができなかったのだが,やっと身体が慣れてきたのかここ1,2ヶ月は通勤時に読書をしている。その中で「数年後にもう一度読むだろうな」と思ったのがこの本。

全くつながりのない人々が日常で起こす些細なモラル違反や非常識。現場を目撃したら「非常識だな」とは思うだろうけれどすぐに忘れてしまう程度のこと。それが偶然にも線になり幼い少年が事故で死んでしまう。親はどこへ怒りをぶつければいいのか。そして己に気がつく...といった内容だ。

内容は別物だが大好きな映画「クラッシュ」を思い出した。私も非常識と知りながらついつい我が身可愛さで行ってしまうことがある。気を付けないと。

2013-01-11

巨魁/清武 英利


巨人の元GMが書いた近年の巨人についての本。アンチ巨人の私はワクワクしながらページをめくったが...面白くなかった。簡単に言えば「私がやった。私はこう思ったのに。私が正しい」という自慢本だった。Amazonで送料込みで460円だったから別にいいか。

2010-12-22

刑務所の王/井口 俊英

アメリカで大和銀行巨額損失事件で逮捕された作者が刑務所で知り合ったジョージ・ハープの半生を綴った話。

17歳から60歳過ぎまでの大半をアメリカ各地の刑務所内で過ごしたABというプリズン・ギャング組織の創立メンバーであるジョージの半生はとても面白い。ABの創設者なので刑務所内では無敵かというと,時代と共に乱暴な若手囚人が現れ頭の固いおっさんとして狙われるようになるというサラリーマン的な悲愁を味わったりもする。でも,ジョージの場合はそこでへこたれずに昔の一匹狼時代の精神に戻り立ち向かうんだけど。

2010-11-20

犬の力/ドン・ウィンズロウ



私はノワール系の小説(漫画)や映画が好きである。読後まず思ったのが読んだことへの後悔だった。それは今まで読んできた日本人作家のノワール小説のスケールがとても小さく,今までノワールと思って読んできたのは実は青春小説だったんだと思えてしまい,今後読む気がしなくなってしまったからである。それほどこの小説は陳腐な言葉だけど「凄まじい」

あらすじなどの詳細は素晴らしいものがいくらでも検索できるので割愛。とにかく未読の人は騙されたと思って読んで欲しい。上下巻あわせて1000ページ近くあるがあっという間に読めてしまう。

2010-05-27

さらばヤンキース―我が監督時代/ジョー・トーリー


私はヤンキースファンじゃないし,ヤンキースの選手についてはゲームや選手名鑑で得た知識がある程度。しかしこの本はとても面白かった。野球というのは数字だけでは分からない人間として,そしてスポーツマンとしての性格が大きく影響されるスポーツということがよく分かる内容で野球ファンにお勧めの一冊だ。

今年ロイヤルズのヒルマン監督が5月に解任され,昨日ヤクルトの高田監督が辞任した。各選手の数字だけを見てTVゲームを想定して考えると,監督が替わっても同じなのではないだろうかと思いがちである。しかし,この本を読むとそんな単純な事ではないという事が分かる。ただし弱いチームの監督が途中で変われば今以上に勝てるようになるということでもない。

2009-07-30

球界の野良犬/愛甲猛


元ロッテの愛甲が生い立ちからプロ野球人生,引退後の生活を書いた自伝。

高校時代,友人から「愛甲ってワルなんだぜ」と聞いたことを思いだした。この本を読んでみると確かにそうだった。甲子園で優勝する高校球児ぐらいになるとソープランドに接待されるのか。私も運動部に所属していたが都立高校の運動部だったため,そんな噂すら耳にしたことはなかった。

プロ野球界に入ってからの裏話も面白い。タイトル争いで助けい,首脳陣とのトラブル。そしてステロイドの使用とその後遺症。金田監督の行動はまるでコントみたいだ。

暴露本にしては少し弱いし,自伝として考えるとそれほど自分語りをしているわけでもない。そんなことから,疲れていてもサラッと読める内容になっている。

2009-03-31

告白/湊 かなえ


双葉社

シングルマザーである中学教師の森口悠子。職員会議がある日は娘を保育所から早めに引き取り,保健室で待たせていた。しかし,ある日娘がプールに溺れて死亡してしまう事件が起こった。鑑識の結果,外傷等が無かったので不注意で落ちたのだろうという結論だった。

娘の死もあり年度末に学校を辞めることになった彼女は,クラスの全員に別れの挨拶をしていた。そして娘は事故死ではなくこのクラスの2人の男子生徒に殺されたと告白した。更にHIVであと数ヶ月の命である夫の血液を,その男性生徒の牛乳に混入したということも...

この教師や殺人を犯した生徒達,学級委員などの告白形式で進んでいく形式で,読むに従ってスピード感が増していき一気に読んだ。ただ,どの登場人物もフィクションから抜け出せなかった(漫画的で感情移入できない)のは残念な部分だったと思う。

2009-01-23

オンリーチャイルド/ジャック・ケッチャム


母親に虐待されて育ったアーサーは,子ども時代に数々の事件を起こしたが狡猾に立ち回り捕まったことが無く,今では人気レストランの経営者として町の名士になっていた。

彼の内面を知らずに結婚したリディア。彼に変態行為を要求され困惑するが,息子ロバートが生まれてからは要求が少なくなった。その一方で幼いロバートの様子がおかしくなってきていることに気が付いた...

虐待がモンスターを作り出すというよくある内容なのだが,それに裁判部分を加えたことでこの小説がより面白くなったと思う。

前半はエロ小説の様な描写も多く「失敗したかな」と思ったが,後半の裁判シーンからは目が離せない状態になった。本宮ひろ志の漫画なら裁判で悪事が暴かれカタルシスを得られるのだが,この作者の場合はそうじゃない。そこがもどかしいのだが,現実はこっちだよなと納得する部分でもある。

隣の家の少女/ジャック・ケッチャム


扶桑社ミステリー
隣のルース家に少女がやってきた。メグとスーザンで姉のメグは僕と同じくらいの年齢だ。二人の両親は交通事故で亡くなったので引き取られたようだ。ルース家には母親と3人の息子がいて僕は母親とも息子達とも仲がいい。

ある日メグが家の中でルースに叩かれていた。お仕置きにしては激しすぎたが僕が口を出すことではない。そのうち僕が遊びにいっているときでもルースはメグに折檻するようになり、て息子達もそれに加わった。

止めなければと思っていた僕はその光景になれるに従いそんな気持ちはどこかへ行ってしまった。そして近所の子ども達も加わるようになり...

先日見た「アメリカン・クライム」という映画の情報を検索していたら「インディアナ少女虐待事件」を元にした小説がこれだと言うことを知り早速読んでみた。最初に映画を見ていたので(※映画は小説を元にしたわけでは無さそうなので細かい部分では異なっていたが大筋が同じ)免疫が出来たのか,ショッキングとは思わなかったが後味は悪かった。

傍観者に近い加害者である主人公の行動は,一般的な人々の行動を想像して書いているのだろう。事件を新聞やTV等で知ったときは「何やってんだよ。自分だったらすぐに通報するのに」と思うだろう。しかし実際当事者になり,主犯者達との過去から蓄積されている人間関係や思い出があるとそう簡単にはいかないのが現実なのだと思う。もちろん,そんなことより現実だとスパッと割り切れる心の強い人間もいるだろうけど。

2008-08-14

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相/福田ますみ 新潮社

教師から「穢れた血」といわれその後も嫌がれせを多く受けPTSDになった小学生の事件が数年前に報道された。しかしそれは保護者の虚言癖から始まった冤罪であった...

この事件を覚えている。酷い教師がいるものだと思いその後どうなったかは知らなかった。そしたらそれが冤罪だったことをこの本により知り,新聞報道といえども鵜呑みにしてはいけないなと改めて胸に刻んだ。

どうしてこの様な事件になったかというと,子供の嘘に両親も嘘を含めながら過剰に反応し学校を攻めた。これに対し校長と教頭は教師の話を信じずに,穏便に済まそうと教師の罪を認めてしまう。教師もとりあえず頭を下げることにする。

その様な状況時にマスコミがこの話を聞きつけ,両親の話を信じ込み教師糾弾記事を書きTV局もそれに乗り大事件へと発展することになり,民事裁判ではやはり両親の話を信じた人権派弁護士が550人の弁護団を組む。教師側は弁護士がいない状態。

しかしこの事件がおかしいと感じた弁護士が教師側に付き裁判を始めると両親の虚言癖や,PTSDと判断した医者の適当さが浮き彫りにされてきてマスコミの論調も変わってきて,最終的には教師の全面勝利とまではいかないものの勝利といっていい結末になった。

この事件を両親側からの取材のみで一方的に書き上げた週刊文春の西岡研介,西日本新聞の野中貴子,毎日新聞の栗田亨,朝日新聞の市川雄輝はジャーナリストとは言えないだろう。真実を調査する前に自分の判断で善悪を決め,自分を正義の使者と勘違いし自分で判断した悪を糾弾するために熱弁をふるう。

一応世間的に認められているマスコミ会社の人間がこうでは怖ろしい。○○新聞の記事だから信用出来るねと思う人も多いだろう。しかも訂正報道はしない。書いた者勝ちだ。報道する自分の使命というものに酔ってしまい,一般的な倫理観を欠如してしまっているのだろう。

報道はスポーツの結果しか信用できなくなっていくのかもしれない。

2008-07-28

王様は裸だと言った子供はその後どうなったか/森 達也


誰もが知っている15の物語をユーモアと現在の社会性を交えてパロディ化している本。軽い気持ちで受け流しながら,そして時にはなるほどと思いながらあっという間に読めてしまった。例えば「桃太郎」に関してはこうだ。

桃太郎:大学を卒業し正義を愛する崇高なジャーナリストになり,TVにも頻繁に出る存在
鬼:物語を何度読み返しても鬼ヶ島という人間とは隔離された島に住んでいる鬼達は,人間に対して直接的な危害を加えたという事は書いていない。

それなのになぜ桃太郎は鬼を退治しに行ったのか。この部分を自分が正義だと思い込んでいるジャーナリストの横柄さと思考の単純さを半ばバカにしながら書いている。

この物語の締めで書いてあることが面白い。「反抗する悪には中学校時代の顔写真と,DVDのレンタルリストを日本中に晒すという奥の手を使います。どんな悪もこれには敵いません。こうして正義のジャーナリスト桃太郎の快進撃は今日も続くのです」

2008-03-13

ぼくの心の闇の声/ロバート・コーミア


第二次世界大戦終了数年後,11歳のヘンリーが住む地域ではユダヤ人,アイルランド人,ポーランド人など様々な人種の人々が暮らしていた。交通事故でヘンリーの兄が死亡しそれにショックを受けた父はいまだに立ち直れなく家に籠もったまま。母親は食堂でパートをしている。ヘンリーは家計を助けるために近所の雑貨屋を手伝っている。

ヘンリーはある日ユダヤ人のおじいさんと知り合いになった。そのおじいさんは工芸センターで木彫りの人形を作っていて,その人形でヒトラーに破壊される前の自分が住んでいた町を再現させていて,それが生きる活力となっていた。

ヘンリーは雑貨屋の主人に何気なくその事を話したら,ヘンリーの弱みと引き替えにとんでもない命令を申しつけた...

この作者の「チョコレート・ウォー」を本棚から引っ張り出し,10年ぶり以上に読んだら他の本も読みたくなり購入したのがこの本。心理的に追いつめていく意地悪はチョコレート・ウォーに似ていて,ヘンリーはどのような選択をするのかとページをめくるのが怖くもあり,楽しみでもあった。

中古で買ったので手元に届くまで分からなかったのだが,帯には小学校中~高学年向きと書いてあったが,低レベルの内容ではなく大人でも十分楽しめる作品だった。逆にもし学校で小学生に読ませるのなら,教師がしっかりとした考えを持っていないと危険かもしれない。

2007-10-22

銭ゲバ/ジョージ秋山


何日か前に昔購入した「アシュラ/ジョージ秋山」読み,そういえば銭ゲバも読みたいなと思っていたら偶然再発されていた。

たぶん私が小学生の頃に少年漫画誌で連載されていたと思うが真剣に読んだ記憶はない。主人公が幼い頃,金がないために母親が医者に診てもらえずに死亡した。父は外に女を作り暮らしていたのでいなかった。この事から「世の中金だ」と悟り,殺人を犯しながら政治家にまで上り詰めていくストーリー。

アシュラ」は大飢饉の中世に気の狂った母親から生まれ,すぐさまその母に火で焼き殺されそうになりながら生き延びたアシュラが獣と人間の狭間で生き延びていくストーリー。当時は人肉を食べるという事が話題になった。

両方の漫画に短期間に読みショッキングな内容に目を奪われがちだけど,本質は生まれながらにして不幸を背負った人間の犯罪をどこまで許せるのかという事を問うてるのではないかと思った。

2007-04-06

Gファイル―長嶋茂雄と黒衣の参謀 /武田 頼政


文芸春秋
長嶋が2回目に巨人の監督を行ったときに,参謀として呼ばれた人物が「GCIA」という情報機関を創設し,長嶋を陰からバックアップした内容が克明に書かれている。

私は巨人ファンではないし,当時は野球自体見ていなかったのでどのような状況だったかは分からない。それでも,とても面白くそして興味深く最後まで読むことが出来た。

ドラフトはもちろんだがトレードにも裏が色々あり,首脳陣と選手/首脳陣同士/裏方同士の確執,フロントの勢力争いなどハリウッドだったら映画化するだろうと思える内容が盛りだくさん。巨人ファンは読まない方がいいと思う。

2007-02-14

犬も平気でうそをつく? /S・コレン

文春文庫

巷には犬のしつけの本が溢れている。私も犬を飼い始めて数冊購入した。どの本にも言えることは,ああした場合はこうしなさいと書いてあっても,どうしてこうすることが良いのかという明確な理由が書いていないことだ。それと犬を褒めなさいと書いてあっても,その褒め方を書いていない。初めて飼う人はどうやって褒めていいのかなんて分からない。

犬を飼って4年が過ぎたが,それで分かったことはしつけの本は話半分で読むこと。犬も人間と同じようにそれぞれに個性があり,飼っている環境に左右される。正しいしつけは無いということだ。

前置きが長くなってしまったが,この本はしつけの本ではないが犬の行動に関する疑問への回答が理論的に説明されていて,私のようにしつけの本にウンザリしていた者には新鮮に感じることだろう。もちろん褒め方もきちんと書いてある。

あと面白かったのが,犬の数あてや飼い主の帰宅の予知などをTVで見たことがある人も多いと思うが「それはこういう理由からなんだ」ときちんと手間をかけて検証し,それを否定というか人間の思いこみだと言い切った部分。痛快だった。

2007-02-10

心にナイフをしのばせて/奥野修司


文芸春秋

30年近く前,高校生が同級生の首を切断して殺害した事件の被害者の家族のその後を描いたノンフィクション。被害者の家族は徐々に崩壊していくが,父がギリギリのところで踏ん張り何とか完全崩壊は免れる。この崩壊模様は読んでいて痛々しくなる。自分を保つだけで精一杯で,犯人を恨むところまで精神を持って行けないのだから。

予想していない家族の死はそれを受け入れるまで時間がかかる。私の母は年齢から考えれば寿命とも言えるが,病院に30年以上通わず身体は徘徊癖に困るぐらい元気だった。しかしある日突然亡くなり,それを受け入れるまで1週間程度かかった。

これを考えると,我が子を失ったショックは計り知れないものがあると予想する。しかも事故ではなく殺人なのだから尚更だ。ニュースでは事件直後の被害者遺族の様子がよく報道されるが,その時の悲しみは誰もが予想できることだろう。

しかし,それ以降本書に書かれているようになることを予想できる人は少ないと思う。私は浅はかなので,遺族は恨みで一杯なんだろうなと思っていた。

一方,加害者の方は実父の愛人の養子になり姓を変え,現在は弁護士となり事務所を構えるほどになったという。被害者への謝罪の言葉は一切無し。30年分割で支払うと約束していた賠償金も2年間支払っただけ。

殺害に至る原因は分からない。死人に口無しなので加害者の証言が真実とは限らない。加害者が自分は悪くないと思っているのなら,謝らなくてもいいだろう。(人としては付き合いたくないタイプだけど。)しかし,殺害したことは事実なのだから賠償金を払わなくてはいけないだろう。法律の世界で生きているんだし。それをやらない人間が弁護士という職業に就いている事がおそろしい。

2007-02-09

自虐の詩

業田良家の「自虐の詩」が映画化されるらしく,松竹のサイトで予告編の様なものを見たのだが,この本の良いところが出ていない気がした。当然このままならDVD化されても借りないだろう。

この漫画は週刊宝石という雑誌で連載されていた4コマ漫画。当初は亭主に尽くす幸江と亭主関白な幸江の亭主の昭和初期のような夫婦像をコミカルに描いているものだった。このころは大して面白くない。単行本化されているのだが,読んだことのない人はこの部分を我慢強く読み続ける事を勧める。

幸江の中学生時代の事を描き始めた後半から,この漫画はガラッと変わってくる。サブキャラクタとして登場し始めた熊本さんがアクセントをつけ,4コマ漫画なのにそれを感じさせないノンフィクションのような物語が始まりだし,涙が出そうになる場面もいくつかある。

最初に書いた良い部分とはこの部分であるのだが,その気配を全く感じさせず幸江と幸江の亭主がメインになっている予告編。とてもガッカリした。